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最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)1357 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人山田友記の上告理由第一点について。

原審は、訴外D(E)Fが被上告人に対して金七〇万円の本件主債務を有し、そ

の履行を確保するために、Fが訴外G相互銀行H支店との間に被上告人名義で金一

〇万円七口及び金一〇万円四口の相互掛金契約を結んでいたことを認定し、また、

Fが被上告人に対して別に四口金二九万五〇〇〇円の債務をも負担していたことを

認定している。さらに、原審は、被上告人及びFが協議の上右相互掛金契約を解約

し、その返戻金をもつてFの被上告人に対する右別口の債務の弁済に充当したこと

を認定している。このように、債権者と債務者の間において数口の債務のある場合

に、債務者のなす給付をどの債務の弁済に充当するかは、原則として債権者と債務

者の間の契約で定めうるところであり、これによつて弁済充当のなされなかつた債

務の連帯保証人が免責をえない結果となつても、やむをえないところである。もつ

とも、連帯保証人が右掛金契約の解約返戻金を本件主債務の弁済に充当すべきこと

を被上告人及びFと約定した場合、または右解約返戻金の弁済充当に関する被上告

人とFの合意が連帯保証人に対する関係で信義則に反するような事情があれば、こ

のかぎりでない。しかし、右解約返戻金を本件主債務の弁済に充当すべきことを右

連帯保証人(上告人)が被上告人及びFと約定していたことは、原審の認定しない

ところであり、右掛金契約が上告人のすすめによつてなされ、上告人が右契約の成

立に関与していたことも、原審は認定していない。また、右解約返戻金の弁済充当

に関する被上告人とFの合意には、上告人に関する関係で信義則に反するような事

情も認められない。そうしてみれば、本件における弁済充当を違法とすることはで

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きない。所論は、原審の認定にそわない事実を前提として原判決を非難するもので、

採用することができない。

同第二点について。

原審は、Fが被上告人に対してなした給付について、両者の合意に基づいて判示

のとおりの弁済充当がなされたものと認定しているから、右弁済について法定充当

に関する規定を適用する余地はなく、所論は理由がない。

同第三点について。

原審は、Fが被上告人に対してなした給付について、両者が予め協議した上で判

示のとおりの弁済充当をなしたと認定している。所論は、給付をした後に遡つて弁

済充当の指定をしたとし、それ故にこの推定を違法であると主張するものであつて、

前提を欠くに帰し、採用できない。その他の論旨は、原審が適法にした事実認定及

び証拠の取捨判断を非難するにすぎないもので、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 横 田 喜 三 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

裁判官 斎 藤 朔 郎

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